１、クロマトグラフィー
先ずは、クロマトグラフィーの説明をいたしましょう。これは、混合物を単一の物質に分けるために行う方法のひとつです。
「クロマトグラフィー」は「色の表現」を意味します。植物学者の Michael Tswett によって、1906 年に考案されました。Tswett は植物の葉から緑色を抽出し、抽出したものから、黄色から赤の成分であるカロチノイド、黄色の成分であるキサントフィル、緑の成分であるクロロフィルを分離して示してみせました。
いまでは、クロマトグラフィーは、色々な分野で用いられています。以下に主な例を示しておきましょう。
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- 医学： 麻酔剤や薬剤の検出
- 食品： 添加物の識別
- 薬理学： 医薬品や化粧品の品質管理
- 犯罪学： 偽造文書の識別
- 化学： 混合物の分離
現在、採用れているさまざまな「クロマトグラフィー」は、基本的には、2 つの相から成ります。物質は『』固定相』と『移動相』という二つの相によって分離されます。固定相とはチョーク、紙などの固形物であり、移動相は水、アルコール、溶媒など、固定相の中を動くことのできる物質です。例えば、水はチョークや紙に染み込んで広がります。
どのように移動相によって分離されるか、そしてどのくらいの速さで固定相に固定されるかは、物質により異なります。それぞれの物質にはどのように移動相を動き、固定相に固定されるかを決定する固有の比率があり、混合物の中の物質の比率が異なる場合、クロマトグラフィーによって各成分を分離することが可能になります。
２、薄層クロマトグラフィー
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ガラス、アルミニウム等の板上に、シリカゲル、アルミナやセルロースなどの吸着剤を薄膜状に固定した薄層プレートを用いるクロマトグラフィーのが、『薄層クロマトグラフィー』（TLC：Thin-Layer Chromatography）です。
主に、反応の進行状況を迅速に確認するため、カラムをする際の分離条件の検討や、分離の確認のときに用いられます。担体のシリカゲルはカラムクロマトグラフィーと同じですが、粒子の細かいものが使われています。そのため、分離能が高くなっています。通常は順相のシリカゲル担体を用いますが、逆相シリカゲル担体や化学修飾担体も用いられます。
薄層プレートの一端を溶媒に浸すと、吸着剤の間隙を毛細管現象により溶媒が移動します。薄層プレート上に試料物質があると、溶媒の移動に伴って試料も移動します。 このとき、試料の固定相の吸着剤への吸着の強さと移動相の溶媒への溶解性の違いにより、試料の移動する距離が異なってきます。TLCは、溶離液の組成、温度、担体、チャンバーの溶媒蒸気の飽和度、スポット量を管理すれば再現性があるので、有機化合物の分離や同定を行う際に使用されます。
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【薄層クロマトグラフィーの特徴】を列挙すると
長所は
- 分析が迅速で安価である
- 同時並列分析が可能である
- 全成分がプレート上にある
- 複雑な成分の予備分析ができる
- 最適条件の設定ができる などです。
また、短所は
- 精度、再現性に問題がある
- 使用するたび展開プレートを調製する必要がある
- 定量性に問題がある
- 多量の分析ができない
３、ペーパークロマトグラフィーの原理は？
薄層クロマトグラフィーとペーパークロマトグラフィーの原理的は、同じものです。 ペーパークロマトグラフィーでは、薄層クロマトグラフィーのシリカゲルの役割を、紙の繊維が果たします。シリカゲルの方が均質なので、分離や再現性の点では、薄層クロマトグラフィーの方がすぐれています。
【ミニ知識】『クロマトグラフィー』という言葉の語源は、ギリシャ語にあります。クロマトは"色"、グラフィーは"記録"、つまり"色の記録"という意味です。
1906年に単一の成分と考えられていた、クロロフィルを「クロロフィルa」と「クロロフィルb」に分離したことから、クロマトグラフィーと命名されたそうです。このクロマトグラフィーを基にして、現在の分析法に発展し、様々な成分が分離できるようになりました。ガスなど無色のものも分析されており、これらは、クロマトグラフィー本来の意味とは異なってきています。
ちなみに、1906年にクロマトグラフィー原理を発見した、ツウェット（Tswett）の母国はロシアでした。この分析方法をクロマトグラフィーと命名した、彼の名前の『ツウェット（Tswett）』とはロシア語で"色"を意味します。つまり、ツウェットは、新発明した分析方法に"ツウェット式記録法"と名づけていたのです。（参考：研究net） 研究ネットは、ここから
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